こちらのページで、ジョイスティック型のゲームコントローラーの製作方法を紹介しているが、レバー部品はセイミツ社という企業の製品を使っている。
このセイミツ社製のレバーの調整の仕方というか、使い勝手を決めるパーツの加工法を紹介したい。かなりマニアックな内容なので、セイミツのレバーに関心がある人だけ見てください。
図1
図1は、セイミツレバーを裏側から見たものだ。青い部品がガイドパーツで、これはレバーの可動範囲、もう少し詳しく言うとレバーが傾く最大角度を決める役割をしている。
本来は、上下左右の4方向のみに入るようにするか、斜め方向も含む8方向に入るようにするかを決めるものだ。一応は左右のみの2方向に限定することもできる。ただ、このガイドパーツのわずかな形状の違いにより、レバーの使い勝手が結構変わってくる。
最近になって、自分で使っているコントローラーのレバーを新しいセイミツレバーへ交換したのだが、以前よりも少し斜めに入りやすくなったように感じた。そのままだとちょっと使いにくい感触があったので、ガイドパーツの加工と調整をしてみた。今回はその過程を紹介してみる。
図2
図2は、8方向用のレバーにした状態。ガイドパーツをはめ込む位置を変えると、4方向用にもできる。図2で上側に見えるのが、4方向用の穴になる。
ガイドパーツの穴が大きいほど、レバーの可動範囲は広くなる。また8方向用の穴の場合は、斜め方向にパーツが削れているほど、レバーが斜めに入りやすくなる。
私のセイミツレバーへのイメージは、簡単には斜めには入らない、つまりは誤って斜めに入ってしまう誤動作が起きにくいレバーというものだったが、新しいレバーは斜めに入りやすくなっている気がした。ガイドパーツの形状が昔と少し変わったのかもしれない。
なお、水色のパーツもガイドパーツである。上下左右方向の可動範囲は、このパーツで決まっていると考えていい。青いパーツを外し、水色のガイドだけでもレバーは使えるが、相当に斜めに入りやすくなるし、傾く角度も大きい。多分、誰にとっても使いやすい状態ではないだろう。
レバーの使用感を決めるのは、青いパーツということになる。
図3
斜めに入りやすいのは、8方向ガイドの斜め部分が大きく削られている、つまり穴が大きいからだ。この穴を小さくして、もう少し斜めに入りにくくしたいのだが、大きい穴を小さくすることはできない。そのため、4方向用の穴を8方向用に加工することにした。
図3が4方向用の穴になる。このままだと斜めに全く入らないので、まずは円形にしよう。
図4
穴を円形にするために、図4のリーマという工具を使った。これは凸凹な穴を綺麗な円形に加工する工具だ。
このような工具を持っている人は少ないと思うので、無い場合はヤスリで頑張ってください。
図5
リーマで加工後は図5のようになった。これで一応は斜めにも入るようにはなったが、上下左右方向に比べると非常に入りにくい。斜め方向をもっと削る必要がある。
図6
図6は、水色のパーツ側から見たところ。斜め方向の部分に青いパーツが少し見えると思う。こちら側から見ると、青いパーツの斜め方向がどれくらい削られているかが分かりやすい。
この青いパーツが見える部分が小さくなると、斜め方向へ入る範囲が大きくなるわけだ。この斜め部分を少しずつ、慎重に削りながら調整していくことになる。
今の段階の削れ具合を覚えておくといいと思う。
図7
図1で載せた写真を再掲する。緑色のパーツが見えるが、これはレバーの中心軸に付いているものだ。これが青いパーツに当たることでレバーの動きが制限され、レバーの可動範囲が決まる。
青いパーツはかなり厚みがあり、削る際にはその角度も考慮しないといけない。水色のパーツと接触している側を削っても、レバーの可動範囲はあまり変化しない。その反対側を削るほうが変化が大きい。
青いパーツを垂直に削るよりは、外側に開くような形になるように削るのが無難ではないかと思う。このあたりは好みの問題だが。
図8
青いパーツの斜め方向を少しずつヤスリで削り、最もレバーの入り具合が良い状態へ持っていく。この時は、少し削ってレバーに取り付け、実際にゲームをしてみるという繰り返しをしながら進めるべきだと思う。削り過ぎると取り返しがつかないので。
どれくらい削るといいのかというのは、その人によって違ってくる。ガイドパーツの削り具合の見た目で判断するより、実際にゲームで使った時の感触を重視すべきだと思う。見た目では削り具合のバランスが悪いように見えても、ゲーム中はしっくり来るということもあるようだ。
レバーを全方向に入れて一回転させた時に、どこかに引っかかるような感触があるのは良くないと思う。その引っかかりを無くすためにパーツを削る時は、なるべく少しずつにしたほうがいい。金属ヤスリを使うより、紙ヤスリを使ったほうが上手く調整できるかもしれない。
図8は加工後のガイドパーツ。これは私がちょうど良いと感じたものなので、これくらい削ればいいのだな、とは考えないほうがいい。自分でゲームで使いながら調整すべきだ。
図9
図9は、加工後のパーツを裏側から見たもの。削る前と比べると、斜めの部分が小さくなっているのが分かると思う。
どれくらい削るのが最適かは、本当に人によって違ってくると思う。場合によっては水色のパーツを削るのも有りだろう。
この加工作業は、はっきり言って相当に面倒だ。削り過ぎるとそれまでなので少しずつ進めるしかないが、何回もゲームで使って確かめるのが大変。自分の場合は1時間以上かかった。
このような作業を初めてやる人は、おそらく最初の1つは削り過ぎてしまうと思う。青いパーツは単体で購入できるので、失敗したらまた挑戦してもらいたい。
手間はかかるが、自分の好みにカスタムできるのは大きい。市販品のコントローラーに満足していない人は、やってみる価値はあるのではないか。
レバーその他の部品の購入は、以下のオンラインショップを勧める。
今回紹介したセイミツ社のレバーは、「LS-32」という製品。これ以外にもセイミツ社のレバーはあるが、ガイドの形状が違うものがあるので注意してもらいたい。同じセイミツ社のレバーであっても、製品により使用感は大分違うようだ。
青いガイドパーツは、千石電商の通販のページでは扱っていないらしい。レバーを購入すれば一緒に付いてくるのだが、ガイド単品で購入したい場合は、秋葉原のラジオデパートにある千石電商の店舗で扱っている。近くに住んでいる人は、店舗で買ってもらいたい。こちらの実店舗に行くことができる人は、一度行ってみる事をお勧めする。レバーは実際に触ってみないと使用感がわからないので、実物で確認するのが一番だ。品揃え的にも通販より充実していると思う。
青いガイドパーツを通販で買いたい人は、以下のページで扱っているようなのでこちらで購入するといい。私は利用したことが無いのだが、今は千石電商よりもこちらのショップのほうがお勧めできるかもしれない。セイミツレバーの無印LS-32も扱っている。