恐怖のループゲーム、その後 グラディウスⅣ

グラディウスⅣは、グラディウスシリーズの正統な4作目にあたる。にもかかわらず、プレイヤーの数は極端に少ない。話題に上ることもあまりない。敷居が高過ぎるのだ。

私の周りの人達の間では、1千万点を出すのが最も難しいループゲームと言われていた。その認識は、今でも変わっていない。

私自身はこのゲームに関して詳しくはないので、確かなことは何も言えない。あくまで自分の思う範囲の中で、少しだけ書いてみたい。



別ページで紹介した、木下さんと高嶋さん。二人とも達人王1千万点を達成している凄腕プレイヤーだ。この二人が口を揃えて「最も厳しいループゲーム」と位置づける作品があった。それがグラディウスⅣである。

私自身は、このゲームについて言及する資格が無さそうだ。自分でもやってみたことはあるが、1周目の3面すら抜けられない。木下さんと高嶋さんは、「5周目くらいまでなら楽だよ」と言っていたが、とてもそうとは思えない。レベルが違い過ぎて話が噛み合わないだろう。

極端に難易度が高く、ほとんどのプレイヤーを寄せつけない存在だ。そのため、このゲームの詳しい情報は手に入りにくい。ところが、YouTubeに1千万点を達成している動画をアップしてくれている方がいた。「gradiuser4649xx」というアカウント名の人だ。これを参考にさせてもらおう。8周目~15周目の動画がアップされている。




動画1


動画1は、8周目のものである。いきなりすごい世界になってしまうが、これより下の周回はアップされていないようだ。

まず眼につくのは、敵の撃ち返し弾が非常に多いこと。しかも弾速がかなり速い。1つの敵キャラが、5発以上撃ち返しているのだろうか? 本当に数珠繋ぎになっているが・・

以下、各面で私が思ったことを並べてみる。単なる素人意見でしかないので、そこは了承していただきたい。


 1面

1面の開幕から、非常に狭い敵弾の隙間に入り込んでいる。これはパターン化されているのか? 他の周回の動画でも同じような展開になっているが、敵を破壊する位置やタイミングが少しでも変われば、撃ち返し弾の来る方向も変わるはず。とても安定するとは思えないのだが。

竜のような敵が口から出す青い弾は、自機のショットで破壊することは可能だ。しかし、破壊すると撃ち返し弾が大量に発生するらしい。となると、青い弾は破壊しないようにしながら、竜の頭の部分だけを狙い撃ちにしていることになる。そんなことを各周回で実行しているのだろうか。ちょっと信じがたい話だ。


 2面

何の障害もなく、順調に進んでいるようにも見える。そうなると簡単な面なのかと思ってしまいそうだが、絶対にそんなことはない。これだけの狭い空間内で、異常な量の敵弾が飛び交っている。それを正確に避けつつ、しかも自機の位置取りも完璧。こんなことができるのは本当に極一部のプレイヤーだけのはず。

レーザーを装備せずにノーマルショットで進んでいるが、これは狭い隙間にショットを撃ち込むためではないかと思う。植物のような敵の根元部分を狙うのが目的だと予想される。

他の面に比べれば、まだ平和な世界なのかもしれないが、とても気を緩めるような余裕があるとは思えない。


 3面

この面は、おかしい。泡が大量に浮遊しているが、これをほとんど破壊せずに進んでいる。この泡は破壊可能ではあるが、実際は全滅させるのは不可能らしい。泡が分裂する瞬間はこちらのショットが当たらないので、オプション4つのフル装備であっても壊しきれないのだ。

仕方なく避けて進むことになるが、この泡の動きはパターン化されているのだろうか? かなり高速で動くので、その時の判断で避け続けるのは無理だと思うが。このあたりは判断がつかない。たとえパターン化できたとしても、とても安定するとは考えられない。アップされている動画を観る限りでは3面ではミスしていないが、絶対に安定する面では無いはずだ。


 4面

この面は、絶対に2周目以降のことを考えて作られていない。前半はともかく、後半のマグマのような背景のシーンは、撃ち返しが飛んできたら無理に決まっている。

敵弾が全く飛んで来なかったとしても、これだけ上下に揺れていたら地形を避けるだけでも苦労するはずだ。そこに撃ち返し弾とは、何も考えていないとしか思えない。

動画を観ているとこれが当たり前のような錯覚をしてしまうが、普通の人間には絶対にできない。このような異常な能力を持つプレイヤーがなんとかしてしまうから、開発者もこれくらいはできるだろうという勘違いをしてしまうんだよね・・


 5面

他の面に比べれば、比較的安定するようにも見える。見えるだけだとは思うが。

動ける範囲が広いので、反応のいいプレイヤーなら腕力で押し切ることも可能かもしれない。動画では随分と大きく動き回っているが、これもパターンなのだろうか? それともその場の判断でやっているのか。


 6面

6面は、グラディウスⅣで最も難しい面として有名だ。悪夢の細胞面として、昔から恐れられていた。

動画1で注目したいのが、17:58くらいからの場面。ここでは、3本の触手をもつ敵を破壊せず、ひたすら避けながら進んでいる。この敵を破壊しない理由は明確ではないが、この場面ではダメージを与えると敵が発狂してしまうという話を聞いたことがある。おそらくそれを避けるためなのだろう。しかし、その直前の場面では同種の敵を破壊している。これは何が違うのかよくわからないのだが。

それにしても、よくこんな回避パターンを考えたものだ。それ以前に、本当にパターンになっているかどうかも怪しい。上下にバウンドする青い敵弾を避けているが、とてもその動きに眼が追いつかない。そもそも、これで行けると思ってしまう人達は、何かが弾け飛んでいるとしか考えられないのだが。

世の中には、絶対にこんなの無理 × 3 みたいな状況を突破してしまう人が存在する。恐ろしい限りだ。


 7面

7面は高速スクロール面。相当に狭苦しいが、敵の数が少ないのでまだ平和そうに見える。

それにしても、嫌らしい動きをする仕掛けばかりが並んでいる。開発者は、とことんまでプレイヤーを苦しめることに美学を感じているのだろうか。


 8面

ボスラッシュ面である。ここは多分最も楽な面だと思う。周回数が上がっても、それほど難易度に変化が無さそうだ。

それでも、3体目のボスはかなり強いと思う。速攻破壊のパターンを作っておかないと、安定化には程遠いはずだ。


 9面

グラディスシリーズ伝統の、要塞内部面。私の感覚では、6面に次ぐ高難易度ではないかと思う。

gradiuser4649xx氏は、この面の技術レベルが異様に高いように見える。どう考えても安定する面ではないと思うが、見事な立ち回りで切り抜けている。27:00くらいから始まる縦スクロールのシーンは、オプションの配置、敵弾の誘導など、圧巻の一言だ。

中ボス戦(赤い背景になるシーン)も、非常に軽やかな動きで避けまくっている。ここは安全地帯に入ってやり過ごすと聞いたことがあるのだが、この周回だと通用しないのだろうか。それとも、これくらいの攻撃は余裕ということか?






動画2


動画1はノーミスであったが、復活の例も見てみよう。動画2を観てもらいたい。1千万点を達成している、15周目のものだ。

4面でミスし、そこから復活している。復活は10:00くらいから始まっている。

見て分かるとおり、滅茶苦茶な世界だ。どこまでパターン化されているのかは不明だが、何にしても1発で決まるようなものではない。




動画3


動画3は、6面で復活している例だ。6面で最も難しいと言われる場面でミスし、そこから復活している。復活は18:05くらいから始まっている。

ここから復活する機会が、おそらく1番多いのだろう。その意味ではパターン化も進んでいるのかもしれないが、それにしても厳しい。ボスも馬鹿みたいに強いし。



ここで、復活時の敵の攻撃ランクについて少し触れておきたい。実際にプレイして確認したわけではないので、不正確な部分もあると思うが。

ミスした時点で、敵の攻撃ランクは下がる。ランクは自機のパワーアップの状態によって上下するので、ミサイルやレーザー、オプションなどの装備を失えば、ランクは下がる。

さらに、ミスを重ねるごとにランクは下がっているようだ。おそらく最低値は設定されているが、何機か死ぬことで復活はしやすくなっていくと思われる。動画2や動画3でも、ミスをするごとに少しずつランクが下がっているように見える。

何機死んでも変化が無いというよりは救いがあるが、ある程度の数のミスを重ねないと復活ができないのであれば、残機の数に余裕が無くなることにもなる。このゲームは15万点エブリで残機が増えるが、この数をどう考えるか。余裕があると解釈する人は、ほとんど居ないはずだ。




動画4


もう1つの例を観てもらいたい。動画4は、6面でミスしている。しかし、例の最難関の場面ではなく、その少し手前でミスしてしまったようだ。そしてここから地獄が始まっている。17:40あたりからだ。

一体、何機失っただろうか。1千万プレイヤーをもってしても、これだけ苦戦する。このように復活が異常に厳しい場面は、他にも多数あるのではないか。順調に進んでいるところを見ているだけでは、各所に口を開けている落とし穴には気が付かないのだから。




木下さんなどは、グラディウスⅣはパターン化できるゲームだと言っていた。どこからでも復活可能だとも言っている。でも、本当にそうなのだろうか?

木下さんは地力があるので、その場で判断して対応することもパターンのうちに入れてしまっている気もする。このページで紹介した動画を観る限り、どの面であってもパターンで安定するとは到底考えられない。

どの場面からでも復活できるといっても、それは可能性が完全な0ではないという話なのではなかろうか。残機が足りなくなることも十分有り得るし、理屈と現実はかなりのギャップがありそうな気がする。



グラディウスⅣに関しては、評価するのが難しい。難易度の高さばかりが有名になっているのも事実だろう。

もし本当の姿を確かめたいなら、自分自身でやってみるしかなさそうだ。